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kiviak-minamiの日記

少しずつ、ことばを紡ぎだす訓練になればなあ。

卵が先か鶏が先か

 海外にいる弟がいる。英語を学びたいという思いが嵩じて、ついには日本を飛び出し海外であれやこれややっている。そんな弟から、少し前に連絡があった。

 海外生活も大分板についてきた、と彼は言う。IELTSの試験を受けたら平均点は約7点。永住権の獲得も近い。今だからこそ、足掛け数年の経験をもとに、英語学習者に向けたblogを書きたいと思う。しかし長らく日本語の文章にも触れていないし、正直書き方がわかっているわけでもない。どうしたらよいだろう。

 とりあえず書いてみればよい。そう言ったところ、弟はしばらく経って「前置き」の部分を送ってきた。カタカナを使いたくない、全てをきっちり「純日本語」で書きたい、するとついつい漢字で溢れてしまう。本人の言う通り、「これから」の「これ」まできれいに漢字に変換されていて、率直に言うと確かに読みづらいね、という話になった。

 彼にいくつかの種類の書き方を勧めてみると、ちょっと試してみると言い、しばらく経ってからリテイク版が送られてきた。初めのものに比べたら幾分かこなれているけれど、やはり重たさと硬さは、本質的に変わっていなかった。もう一度書き直してみようか、ということになったけれど、二度目のリテイクはまだ送られてこない。

 たぶん彼の中には、柔らかい言い回しや軽い文章の組み立て方のストックがないのだろう。本人にとってのモデルがないから書き出せないし、提示された書き方のサンプルもしっくりこない(しっくりくるものが無いのだから致し方ない)。

 しかし、二度目、三度目と、繰り返し直していかないことには、きっといつまでも出来上がりやしないよ。と、わたしは言った。真似したいと思えるもの、エセーでも、それこそブログでもいいから、探してみたらどうだろう。吐くために食い、食うために吐く、そのくらいでないと言葉がうまくならないのは、君だって知っているだろう。

 そうだね、と弟は曖昧に首肯して、今のところはそれきりになっている。今頃彼は、海の向こうで何か読むべきものを見繕っているだろうか。どこかでしっくりくる言葉と出会って、少しずつ借りてくることができれば、彼の言葉も少しずつこなれてくるのではないかと思う。

 しかし今となっては、しくじった、とんでもない回り道を勧めてしまった、と思っている。いたたまれないほど書きたいことがあるなら、下手くそでも硬くてもいいから、とにかくたくさん書いてごらんよ、読みやすさなんてどうでもいいよ。そう言ってやれば済んだ話ではないか。そしてきっとその方が、はるかにいいことになっていたのではないか。

 ろくな兄でいた試しがないが、今度のは極め付けに悪い。